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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第18章 血と絆





「……お」


 しばらく歩くと広い場所へ出る。


 そこには白い大きな建物と庭があった。


 その庭で子ども達と遊ぶ水琴を見つける。



 「お姉ちゃんパース!」
 「あー!ボール!!」

 子どもの手を離れたボールがエースの方へ転々と転がってくる。
 
 「すいませーん!……あ」

 駆け寄ってきた水琴へボールを投げ返す。

 「こんなとこに居たのかよ」
 「エース…」

 エースに見つかった水琴はばつの悪そうな顔でボールを受け取る。

 「この島で危険はないとはいえ、一言くらい掛けてけよな」
 「うん、ごめん……」

 しゅんと水琴は肩を落とす。
 少し言いすぎたか、とエースは視線を庭へ向けた。

 「…で、あの子ども達は?」
 「うん。ここの施設の子達なんだ。昨日迷子になってた子を送り届けたら、なんか仲良くなっちゃって」

 この島にいる間だけでも一緒に居ようと通っていたのだと言う。
 そういうことかとエースは昨日からの水琴の行動に合点がいく。
 朝早く出掛け、一日中子どもと付き合っていたら夜もすぐ眠ってしまうのも頷ける。

 ナース達にはもう着ない古着などがないか聞いて回っていたのだと水琴は説明する。

 「そういうことだから、エース」

 私は平気だから、と続ける水琴の頭を通り過ぎざまに叩き、庭へと向かう。

 「…え。え?」
 「今日もここで過ごすんだろ?」
 「そうだけど、エースは…」
 「たまには童心に帰んのもいいだろ」

 庭へ踏み込めば様子を窺っていた子どもたちがわっと集まってくる。

 「あー!海賊のお兄ちゃんだ!」
 「白ひげのお兄ちゃんだー!」
 「ほーらガキ共!今日は兄ちゃんが全力で相手してやるからかかってこい!」

 歓声を上げて騒ぐ子ども達に交じり楽しそうに笑うエースを水琴は見つめる。

 くすりと微笑むと、水琴はボールを持って駆け出した。


 「エースパス!」


 ぽーん、とボールが高く飛んだ。



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