第18章 血と絆
「なァイゾウ」
銃の手入れをしているイゾウへ声を掛ける。
「水琴見なかったか?」
「あいつなら島に行ったぞ。お前一緒じゃなかったのか?」
「またかよ…」
イゾウからの答えにエースは眉を寄せる。
この島に上陸して二日。
一緒に島を見て回ろうと水琴を捜すが、いつも先に島へ向かってしまう水琴に対して小さな不満が降り積もる。
__一言くらい声掛けて行ってもいいじゃねェか。
どこへ行っているのか問い詰めたいが、帰ってくるのは日が落ちてからだし、夕飯はナース達といることが多くあまり近寄れない。
別に強引にいってもいいが、ナース達を怒らせるとそこらの海賊よりも怖いのでできれば遠慮したい。
寝る前を狙おうとしたが、気がつくともう熟睡している。
一体島で何してんだ、とエースは解決されないもやもやに一日振り回されていた。
「ふられたなァ」
「そんなんじゃねーっつってんだろ」
にやにやと笑うイゾウを睨む。
ここで油を売っていてもしょうがない。
エースは島へ向かおうと踵を返す。
「あんまりしつこいと嫌われるぞ」
「うっせェ」
背後に掛る声を一蹴しエースは甲板を飛び降りた。
「どこ行ったんだあいつ…」
小さな島を堂々とエースは歩く。
ここは白ひげの領土の為、タトゥーを晒していても全く問題はない。
むしろ時折顔見知りに声を掛けられ、エースは手を上げ応えた。
「なァ、ここらで見慣れない女見てねェか?」
「あ、もしかして新しく入ったっていう女の子か?その子ならあっち行ったよ」
「そっか。サンキュ!」
知り合いの一人に教えられた道を行く。
だんだんと住宅地の中へ入り込んでいく道に一体何の用でこっちに来たんだとエースは首を傾げた。