第18章 血と絆
「__でよ、その時ルフィが…」
「もうお前の弟自慢は聞き飽きた!」
「ほんとエースはルフィの話になると尽きないね」
モビーディック号の甲板で三人が座り話に花を咲かせていた。
サッチはいつものように始まったエースの弟話にすっかり参っているようでぐったりと腰を下ろし、対する水琴はエースの話に楽しそうに相槌を打っている。
ルフィの話を始めるとエースは長い。
それをよく知っているクルー達はエースの話が始まるとさっさと切り上げようとする。
そのため最近は話を聞いてくれる水琴に対して話すことが多くなっていた。
「そういえば、水琴ちゃんには兄弟はいないわけ?」
「いるよー。たくさん!」
「何人?」
「えー…五、六人?」
「なんで疑問形?」
「てか多いな!」
「うん。みんな可愛いよー」
にへら、と水琴は笑う。
「小さい時はお姉ちゃんお姉ちゃん言っていっつも後ついて来て、出来ないことも何でも真似したがるし…」
「すっげー分かる!ルフィもいつもいつもエースエースっつって後ついて来やがるし、お前には無理だって言っても真似しようとしやがるし…」
「「ほんっと、兄弟って可愛いよね(よな)!」」
「…ま、ちょっとは分からんでもないな」
サッチは盛り上がる二人に対し苦笑する。
年長の部類であるサッチはそっとこの船の末っ子達を見つめる。
子どもではないのでエース達が語るような感情はないが、大事に思っていることは変わりない。
しばらく二人の兄弟談義を、サッチは黙って見つめていた。