第105章 芸術の島
「それでは明日、朝食を終えた頃に迎えに参ります」
良い夢を、と言い残しフランは去っていった。
残された水琴たちは各々の部屋に荷物を置いてからエースの部屋へ集合する。三人部屋のためやや手狭だが内容的に下の食堂で話すのは躊躇われた。
「到着直後から、また今回の島もキナ臭そうな感じだな」
「夜間外出禁止令か……いったいこの島で何が起きてるんだろうな」
入ってきた水琴とリリィに気付きキールが整理していた荷物をどける。既に座していたデュースはううむと考え込んでいた。
ドアや壁、窓の辺りを確認していたダグが顔を上げる。
「女将曰く、どうやら今この島ではレジスタンスが暗躍しているらしい」
「レジスタンス?」
「王の横暴さに耐えかねた一部の民が暴動を起こしているようだ」
「はっ、だから外出禁止令ってワケか」
「さっきの男は国軍ということか。通りでも何人か見たが、怪しい動向が無いか監視していたんだな」
エースが皮肉気に笑う。民を苦しめる王族に彼は厳しい。我が身を振り返り歩み寄ろうとする努力すら怠る王ならば尚更だった。
その横でデュースは予想以上にひどいこの島の状況に眉をしかめる。そしてフランに出会えたのは幸運だったな、と付け加えた。
「あそこでヤツに会ってなかったら、今頃牢屋にでもぶち込まれてたかもしれない」
「おれがそんなヘマするわけねェだろ」
「あぁ、そうだな。訂正する。……ログが溜まるまで島中逃げ回るハメになっていたかもしれない」