第17章 父の日
「…父の日?」
「もうすぐ着く島でそんな記念日があるんです」
子どもが父親に、日頃の感謝を伝える日。
「これ見ろよ!前親父がうまいって言ってた酒!」
「こっちは特注のジョッキだ!」
「私は親父がよく眠れるよう、特製の安眠マクラを…」
わいわいと子ども達は自分のプレゼントを説明する。
島に着くまでに何とか準備をと、それぞれが考え用意した気持ちを思い白ひげは目を細める。
「…お前ら…やってくれるじゃねェか」
「喜ぶのはまだ早いぜ親父!」
エースが走り出てにっと笑う。
「まだ水琴からのプレゼントも残ってるしな!」
「水琴から?」
驚き振り返れば水琴が照れくさそうに微笑んだ。
「私からは後で」
さ、次はこっちですよ!と白ひげは再び水琴や隊長たちに押され歩を進める。
向かうのはさっきまで白ひげがいた甲板。
「お、親父だ!」
「親父ィ~!おめでとー!」
水琴が白ひげを連れだした隙に準備を進めていたクルー達が一斉に白ひげに声を掛ける。
そこは少し離れていた間に、立派な宴会場となっていた。
左右に分け置かれた長机にたくさんの料理が並ぶ。
そして白ひげの座る椅子の近くには、食堂に置いてあったはずのオルガン。