第17章 父の日
「__船長さん」
一人物思いに耽っていた白ひげは末っ子の声に目をやる。
見下ろせば小柄な姿がじっと白ひげを見つめていた。
「良い天気ですね」
「__あァ、そうだな」
久しぶりに交わす何気ない会話に白ひげは目を細める。
「今日は船長さんに見せたいものがあるんです」
「……俺に?」
「はい。ついて来て下さい」
こっち!と水琴は白ひげの手を引く。
「お、水琴行ったぞ!」
「急げ!!早くしろお前ら!」
その背後でバタバタとクルーが動き出す。
それに気付かない白ひげはある場所で足を止める。
「…俺の部屋じゃねェか」
水琴に連れられてやってきたのは自室の前。
掃除が終わったのかと白ひげは首を捻る。
「さ。中に」
水琴の手によって扉が開けられ、白ひげは一歩中へ進む。
パンパァン!!
途端、銃声よりも軽く明るい破裂音と紙吹雪が白ひげへ降り注いだ。
「「親父、おめでとう!!」」
そこには悪戯成功というような楽しそうな笑顔の隊長達。
そして部屋を飾る様々なプレゼントと装飾。
大窓に掛けられた天幕には“父の日おめでとう”とでかでかと書かれていた。