第104章 サバイバルマッチ
「あまり深追いせず戻って来いよ。キール、トウドウ。エースのことは任せた」
了解と手を挙げる二人に背を向け、水琴たちは駆け出した。
「__すまない。お前たちも仲間の援護をしたいだろうに」
「大丈夫です。彼らは、強いから」
一度戦った相手になど負けない。
必ず勝って、戻ってくるだろう。
だから水琴たちがしなければならないのは勝利の心配ではなく、この島から無事に脱出できるよう手はずを整えておくことだ。
「こっちはこっちで骨が折れそうだしな」
デュースの声で前を向く。鳥籠には近寄らせまいと、海賊やごろつきが立ち塞がっていた。
風を生む。迫る敵を吹き飛ばしながら、三人は順調に鳥籠へと近づいていった。
最後の階段を駆け上がり鳥籠の前に立つ。ダグが鍵を壊し扉を開けるとリリィが勢いよく飛び出してきた。
「リリィ!」
「ダグ、ダグ……!」
「無事でよかった」
「ダグ……ごめんね、ごめん私のせいで」
「いや、わたしが不甲斐ないばかりに怖い思いをさせた」
少女の目から零れる涙がダグの肩を濡らす。もう離れまいとしっかとしがみつくその細い身体を、ダグは慎重に抱きしめ返していた。
しばらくの抱擁のあと、落ち着いたリリィは横に立つ水琴たちに気付く。ダグの陰に隠れながらこの人たちは?とリリィはダグに問い掛けた。
「彼らは水琴とデュース。リリィを助けるのを手伝ってくれた、海賊だ」
「海賊……」
「はじめましてリリィ」
海賊と聞きその身を固くするのが分かる。安心させるよう、水琴は膝をつきリリィと目線を合わせ微笑んだ。