第104章 サバイバルマッチ
どうしようかと考えている水琴たちの近くで爆発が起こった。森の中でも味わったそれにまさかと身構える。
『これは、ルーキー逆転勝ちかと思いきやまさかの広場乱入!もうルールなど関係なし。勝つのはどっちだ?!』
「ふざけんな司会者!とっとと止めやがれっ!!」
現れたザザ一味と響く視界の声にキールが怒鳴る。
しかし観客は優勝したはずのエースたちではなくザザへと歓声を上げ、盛大な“殺せ”コールをまき散らしていた。
完全にアウェイの空気にさらされる中、トウドウが肩を竦める。
「こりゃあ無理だな。最後までやり合わなきゃ誰も納得しねェ空気になってらァ」
「“ルーキー殺しの島”でルーキーがすんなりと優勝させてもらえるわけないってことか」
「いいじゃねェか。おれもぶっとばさねェと気がすまねェ」
殺せコールを背に受けて、エースは現れたザザと対峙する。
もうこうなっては混乱に乗じて少女を奪還は無理だろう。正面からぶつかり、堂々と取り返すしかない。
「リリィ!!」
鳥籠の少女へ向かい、ダグが声を張り上げた。その声に反応し、少女・リリィははっとダグの方を見る。
「ダグ!!」
「待っていろ、すぐに行く!」
ダグの言葉にリリィはこくりと頷く。
「ダグ、デュース、水琴。お前らはリリィのとこ行け」
ザザと対峙しながら、エースは二手に分かれると指示を出す。
「この混乱の中でまたどっか連れて行かれねェとも限らねェだろ。さっさと助けてやれ」
「できれば船をすぐに動かせるようにしといてもらえるかい?逃走劇はちっと激しそうだからなァ」
トウドウの言葉に、確かに船の確保はしておかないといけないと海の方を見る。
これだけヘイトを買ったのだ。船に危害を加えようとする輩も出てくるかもしれない。
エースの指示に分かった、とデュースが頷いた。