第104章 サバイバルマッチ
「この野郎、はめやがって……!」
「お前はメダルのありかを簡単には出さないと思ったからな。狙えるのは勝利を確信した時だけだと思っていたが、案の定だ」
「取られちゃいけねェのは最初に認証したメダルのパーツだからな。うまい具合に囮に引っかかってくれやがって助かったぜ」
立ちあがったザザがゆらりとエースとダグを睨む。
「エントリーは五人って聞いたぞ。反則じゃねェか」
「二十人以上は参加不可ってだけだ。途中追加が駄目なんてルールは知らねェな」
「お前らの負けだ。諦めろ」
「……諦めろだァ?」
ザザが片手を挙げる。それに応えるように手下たちが小型大砲を構えた。
逃げ場のない状態にキールが舌打ちを零す。
「おい、もうゲームは終わりだろ!」
「うるせェ、何がサバイバルマッチだ!この島は“ルーキー殺しの島”だぜ……?」
ギラ、と砲身が光る。
「賞金も賞品も俺たちのもんだ!死ねぇぇええ!!!」
ザザの言葉で一斉に大砲が火を噴いた。
当たらぬよう身をかがめ初撃を乗り切る。白煙が周囲を満たし水琴たちの姿を隠した。
「こっちだ!」
デュースの声に水琴たちは一斉に走り出す。その背で砲弾は次々と放たれ木々をなぎ倒した。
水の気配が濃くなる。視界が開ける直前、背後で巨大な爆発が起こった。
その風に押されるように水琴たちは川に飛び出す。幅は広いが嵩は足首までの穏やかな川が広がっていた。
水琴たちを追うようにザザたちが川へなだれ込んでくる。
周囲を囲まれ、背後を庇い合うように固まる水琴たちの前にザザが立った。
「こんなだだっ広いとこじゃあ隠れるところもねェだろ。観念しな」
「隠れるつもりなんかねェよ。思い切りお前とやりあえるならこっちだって願ったりだ。……と、言いたいとこだけどな」
ダグ、そろそろかとエースがダグへと問いかける。
「__あぁ」
広場の砂時計がさらさらと砂を落とし続ける。
その、最後の一粒が下へ落ちた。
「時間だ」