第104章 サバイバルマッチ
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「うまくいったな」
「これで後はザザってヤツだけか」
数刻前。
最初は正面から堂々と潰していこうと考えていたが、ダグの提案でぎりぎりまで潜伏していたエースたちは一気に奇襲を掛けていた。
参加チームについて下調べをしていたダグの情報のおかげで順調にメダルを獲得していく。
司会者の言葉であと狙うは一位のザザのみと知り、彼らを捜した。
「もう時間も少ねェ。早いとこ見つけねェとやばいなこりゃあ」
トウドウの言葉に砂時計を見る。上に残る砂はもう残り僅かとなっていた。
今までの時間経過からしてあと三十分といったところだろう。
「この広い森から探すのは骨が折れんな。もしも隠れてたりしたら厄介だぞ」
川辺の方に向かいながらキールが息を吐く。メダル獲得数は向こうの方が上だ。このまま逃げ切られてしまっては優勝は難しい。
水琴の不安を拭うように大丈夫だろう、とデュースが答える。
「ダグの情報から察するに、奴らは潜伏なんて手を使うような連中じゃない。完全に叩きのめして勝ちを狙うタイプだ。
俺たちが目立つところにいりゃあ向こうから来てくれるだろう」
こっちとしては都合が良いけどな、とデュースは首元の紐に指を掛ける。
「それよりもこっちの方が重要だ。特にエース、絶対に落とすなよ。俺たちの作戦の肝なんだ」
「わァってるよ」
首にかかるメダルを指ではじきエースは面倒そうに答える。水琴もまた自身の胸で揺れる複数のメダルの欠片を見下ろした。
水琴とエースだけではない。仲間の首にはそれぞれメダルが掛けられていた。
うまくいくかな、と水琴は呟く。