第104章 サバイバルマッチ
「ダグさん、協力しましょう」
顔を上げ、水琴は強い眼差しでダグを見る。
「策があるとはいえ、一人では難しいでしょう。私たちも協力できることがあるかもしれない」
「……それは、もちろん手を貸してもらえるならば心強いが。いいのか?」
「もちろんです!ね、エース」
「つまりは優勝すりゃいいんだろ」
ダグの話を黙って聞いていたエースが口を開く。
「その策が上手くいく保証もない。ならおれたちが優勝しちまえば無事に取り返せる」
「……正気か。このサバイバルマッチには腕利きの海賊どもがエントリーしている。たった六人でどうにか出来るものではない」
「そんなの分かんねェだろ。元々五人で優勝する気だったんだ。変わんねェよ」
にっ、とエースは口元を上げる。
「案外楽勝で優勝出来るかもしれねェだろ」
「__どうやら、お前たちに狙いを定めたのはある意味正しかったのかもしれん」
エースの言葉にダグの表情が和らぐ。
メダルを奪う相手としては不適当。だが、協力者としてはこれ以上ない人選だったに違いないとダグは頭を下げる。
「会って早々このようなことに巻き込み申し訳ないが、力を貸してほしい」
「恩義に報いる。粋だねェ!俺はそういう男は好きだ」
「こっちとしても戦力が増えるのは大歓迎だしな。断る理由なんかねぇさ」
改めて協力を仰ぐダグに対し、トウドウとキールも賛成する。
「さて、話はまとまった」
エースが拳を突き出す。
「優勝目指して、行くぞ野郎共!!!」
「「「おぉっ!!」」」
これからのことを話すエースたちから目を逸らし、ダグは中央広場の方へ目を向ける。
「__待っていろ、リリィ」
小さな手を懸命に伸ばし、助けを求めていた姿を思い出す。
「必ず助ける」