第104章 サバイバルマッチ
「わたしをあのような海賊共と一緒にするな!」
「っ!!」
斧の生み出す衝撃が威力を増す。
フードの下から、鋭い眼光がこちらを射抜くのを見た。
「あの子を道具としか思っていない、海賊などと__っ」
「……!」
鋭い風が罠を切り裂く。自由となった水琴は地に降り立ち待ってください!と叫んだ。
「武器を下ろしてください。一度話を__」
「海賊の言葉など聞かんっ!!」
「お嬢!」
斧が水琴を狙い正面から迫り振るわれる。
風となり避けることは簡単だった。だが水琴は迫る刃の向こうをきっと睨みつけた。
「助けたいんです!!」
水琴の寸前で斧がぴたりと止まる。
フードの奥から視線を外さず、水琴は貴方もですよね、と問うた。
「最初から違和感があったんです。あれだけ正確に手斧を投げられるなら、最初の一発で私の首を狙うこともできたはず。
けど貴方はそうしなかった。わざわざ歌詠みが狙いかを聞き、そうでないなら今回のゲームから手を引けと忠告した」
問答無用でメダルを奪いに来た他のチームとは違う。
ならなぜ彼はここにいるのか。
「貴方はあの子の知り合いですか?私たち彼女を解放してあげたいんです。もしも事情があるなら教えてください」
斧はピクリとも動かない。
木々が騒めく音だけが場を支配する中、ゆっくりと斧が水琴から離れた。
「__いいだろう」
男が一歩下がる。武装を解き、ゆっくりとフードを下ろした。
その下から覗く隻眼が水琴を見下ろす。
「お前たちは他の海賊とは違うようだ。……話がしたい」