第104章 サバイバルマッチ
「ほー。最近の技術はすごいねェ」
「結構他でも動いてるんだな」
両側からトウドウとデュースに覗き込まれながらちらほらと灰色になっている海賊団に目をやる。
既に五つの海賊団が離脱したらしい。残りは十五。
「様子が知れるのはいいな。戦略を練るのに使える」
「あ、あれ一番人気だ」
一覧の他にも定期的にライブ映像も映るようだ。画面が切り替わり、一番人気の海賊団が戦っている姿が映し出された。
大きく映り込む船長の姿に他の海賊団とは違う空気を感じる。恐らく実力も高いだろう。
彼らと戦うタイミングはよく考えた方がいいかもしれない、と思う傍らでエースは早く戦いてェな、と期待を高めていた。
そんなエースをキールが刀で軽く小突く。
「馬鹿。なるべく戦わないようにした方がいいだろが」
「そんなのつまんねーだろ」
「下手に体力使って最後に全部かっさらわれたらどうすんだよ。まだ十五も残ってんだ、慎重にペース守らねェとこっちが先につぶれるぞ」
キールの冷静な言葉にエースはへェへェと気のない返事をする。
この件に関してはキールに賛成だ。このゲームの勝利条件はメダルを完成させることであって、全ての海賊団を倒すことではない。
どのように集めるかも重要なのだ。連戦になることはなるべく避けなければならない。
気を取り直し水琴たちは森の中を進む。最初の衝突から他の海賊団も慎重に動き出しているのか、時折画面を覗くも状況はあまり動いていなかった。
「__あ、森抜けるみたい」
前方に明るく光が差しているのが見える。
風が吹いてくるのを感じ、水琴は前へ目をやった。
「……っ?!」
鋭い風が頬を掠めていった。
重たい質量を伴ったそれは水琴の髪を数本巻き添えに背後へと消えていった。
「な、なに?!」
「また敵か!!」
ドキドキとなる心臓をなだめる水琴を囲うようにエースたちが構える。
周囲は静まり返り、風の音以外何も聞こえない。攻撃の一瞬以外気配を感じさせないのは相当な実力者だろう。
正体を掴むために何かが飛んできた方をじっと見つめる。