第104章 サバイバルマッチ
「そォら来なさった」
「おいキール。突っ込みすぎて怪我すんなよ」
「誰に物言ってんだ。お前こそ無駄に怪我しても手当てしねぇぞ」
拳と刀、それぞれの獲物を鳴らし海賊へ対峙する二人から水琴たちは一歩後ろに下がる。
構えるわけでもなくのんびりと立つ三人に疑問を覚えていれば少しは違ったもしれない。
だが、目の前の海賊たちは目の前にぶら下げられたカモにそこまで気が回らなかった。たった二人で対峙するエースたちに更に笑みを深める。
「ガキ二人だ、やっちまえ!!」
船長らしき男の声で一斉に駆け出す。
それと同時にエースたちもまた地を蹴った。
「………うわぁ」
繰り広げられる戦闘に思わず水琴は声を漏らす。
「こうなると敵の方が哀れだな」
「若ェなァ。俺も昔はやんちゃしてたがねェ」
千切っては投げ千切っては投げの惨状に、デュースとトウドウもまた己の出番は無いらしいと完全に観戦モードとなる。
エースとキールはものの数分で敵を蹴散らしてしまった。
「これで一つだな」
船長の首から奪い取ったメダルの欠片をエースから受け取る。
自身の持つメダルケースの一部にそれはぴったりとはまった。
『さぁどんどん盛り上がってきたー!早速脱落チーム続出!最後まで残るのは一体どこだ?!』
どこからか声が聞こえ、顔を上げる。
見れば球体に羽が生えたような機械が宙に浮かんでいた。目玉のレンズが標準を合わせるようにジジ、と音を立てる。
何だろうとみているうちにそれは飛んでいってしまった。中継用のドローンか何かだろうか。先程のメダル認証の機械といい、機械技術が発達しているらしい。
「あ、見てこれ」
ふとメダルケースの裏を見ると液晶となっていた。エントリーしている海賊団が一覧となって映っている。
皆で覗き込んでいると、そのうちの一つ、ついさっきメダルを奪った海賊団が灰色になった。