第104章 サバイバルマッチ
「なんだお前ら。賭けか?」
「いや、エントリーだ」
「お前らが?冗談だろ。ピクニックは余所でやりな」
胴元はエースたちを見渡し軽く手を振る。
「これは女子どもが気軽にエントリーするような遊びじゃねェんだ。死にたくなかったらさっさとガキども連れて失せな船長」
そう言って見つめる先はトウドウ。
ぴしりと空気が固まった。
「………」
エースは黙って思い切り足を振り上げ、机へ叩きつける。
ベキィッッ!!とものすごい音をたて机が真っ二つに割れた。
「__おれが、船長だ」
ぎら、と胴元を睨みつけるエースの目には殺気がこもっている。
あぁ。怒ってる怒ってる。
しばらく年齢については禁句だなぁと水琴は内心呟く。
「す、すまねェな。どう見ても見えな、あ、いや……」
「うるせェ。いいからさっさと受付やがれ」
エースの様子にしどろもどろとなる胴元からさっさとエントリー用紙を奪い取る。
目の前で桐の分厚い机を真っ二つに蹴り割られたら誰だってびびるだろう。うん。
「ここなんて書きゃいいんだ?」
「あー、まだ決めてないもんね海賊団名」
「空欄でいいんじゃねェ?」
「そんな厳密なものでもねぇし船長名でも書いといたらどうだ」
「それもなー……お、そうだ」
何か閃いたのかエースがさらさらとペンを走らせる。
にやりと笑うと紙をクルーたちへと突きつけた。
「やっぱエントリーするならこれだろ」
「……お前、言うに事欠いて」
紙に書かれた文字を見てデュースがひくりと顔を引きつらせる。
キールは頭を抱え、トウドウはやるねェ、と口笛を吹いた。
反論すら諦めたクルーたちを置いてエースはその紙を胴元へ投げ返す。
記載内容を確認していた胴元はとある欄で目を止めた。