第104章 サバイバルマッチ
暗い嵐の海に一筋の光が差す。
それは段々と強くなり、荒波に翻弄される船にさっと降り注いだ。
曇天だった空は一転し、一気に海は穏やかな気候へと姿を変える。
甲板でその様子を目撃した水琴たちは同時にへたり込み息を吐いた。
「ぬ、抜けた……!」
「つらすぎだろこんなん……」
「生きてるのか俺たち……すげぇな」
「色んな海を経験してきちゃあいるが、さすがグランドライン。やっぱり他の海とは違うねェ」
誰一人欠けることなく最初の海を乗り越えたことを口々に喜び互いの健闘を称える。
「おい見ろよ、島見えてきたぞ!」
みんながぐったりとする中、一人エースだけは船首へかじりつき元気に前方を見つめていた。
「あいつ、野生児か」
「あながち間違ってない」
キールの呟きにぽつりと水琴は返す。
コルボ山で鍛えた肉体と培った体力はグランドラインにも負けないらしい。
無事に島へ上陸し、水琴たちは町を歩く。
初めての島、なにより“ルーキー殺しの島”と呼ばれている島だ。
どんなにおどろおどろしい島なのだろうと内心身構えていたが、予想に反して町並みは小綺麗で活気にあふれていた。
「サバイバルマッチが行われるってのは本当らしいな」
デュースが周囲を見渡しながら呟く。
見れば海賊らしき集団があちこちに集まり好き勝手に騒いでいる。
住人たちもほとんど関係者のようだ。海賊が堂々と歩いていても気にするそぶりを見せない。
「で。どうすんだエース」
「決まってんだろ!まずはエントリーだな」
「やっぱりするの?」
「ここまで来て何言ってんだ」
ノリノリのエースはやはりエントリーする気らしい。
しばらく歩きまわり、ようやく胴元を見つけエースは近寄った。