第103章 グランドラインへ
「仲間に年上も年下もないだろ」
どうしたものかと悩んでいればエースが何をバカなことをと言わんばかりに言葉を放つ。
「仲間となったからにゃ全員同列だ。年齢なんざ関係ねェよ」
「エース……」
「これから互いの命懸けてくんだ。変に距離作ってどうすんだ」
言われた言葉にはっとする。
仲間であることは頭では分かっていたが、それはつまり彼らは白ひげのみんなと同列ということなのだ。
どこかでその両者の間に線を引いていたことを、エースの言葉で水琴は気付いた。
「一番年下が吠えてるぞ」
「んだとこらァ!」
さすが船長、と軽く感心しているとキールの横やりに先程までの船長風吹かせた立ち振る舞いは途端に剥がれいつものエースが牙をむく。
それに苦笑しながら水琴はあれと首を傾げた。
「二人は同い年なんじゃないの?」
「今はな。半年経てば俺十八だし」
ふふんと勝ち誇るがごとくエースを見るキールに対し、エースはびしりっと指を突きつけた。
「半年の差なんて大したもんじゃねーだろ!」
「”男子三日会わざれば刮目して見よ”って知らねぇの?半年の成長度合いを甘く見んなよ」
「身長はおれの方が高い」
「てめぇ喧嘩売ってんのか!」
身長はコンプレックスだったのか、余裕の表情を浮かべていたキールが今度はエースに噛みつく。
ぎゃーぎゃーと言い合う二人を眺めながら、いつの間に誕生日とか教え合ってたんだろうと水琴は若干の疎外感を覚えた。
船を新しくし、男女で部屋も分けられるようになり喜んだ水琴だったが、目の前でじゃれる二人を見ていると同室のままでもよかったかもとちょっぴり思う。