第16章 家族
「全くだよい。帰ったら肩揉みでもしてもらんなきゃやってらんねーよい」
「___肩揉みでもなんでもしますー!」
がばり!とマルコの背中にしがみつく。
「くすぐってェよい」
「うわーんよかった!怖かった!あの科学者変態なんだもん!ほんと死ぬかと思った!!」
「なんだ!やっぱなんかやられたのか水琴!」
「メスで指切られた!」
「あの野郎、やっぱもう一発くらい殴っとくべきだった…!」
「あー分かった分かった。分かったからとりあえず親父のとこ戻るよい」
翼をはためかせ、モビーディックが見えてくる。
「マルコだァァ!!」
「おい、エースと水琴もいるぞ!」
「よっしゃ、退却準備!!」
こちらに気付いたクルーが歓声を挙げる。
「水琴、無事かい?」
「あ、頬切れてる。大丈夫?」
「イゾウさん、ハルタさん…!」
甲板で迎えてくれた二人にぎゅうと抱きつく。
「勝手なことしてごめんなさい!」
「分かってんならいいさ」
「久しぶりに大暴れ出来て楽しかったしね」
「あ、やべおれのストライカー!」
「他の奴が回収してるぞ」
はっとするエースにサッチが声を掛ける。
「マルコ、エース。奪還お疲れさん」
「おォ。親父は?」
「あっちで指揮採ってる」
見れば甲板の先、撤収するクルーへ指示を出す大きな背中。
「船長さん!」
「水琴、戻りやがったか」
グラララ、と特徴的な笑い声で出迎えてくれる。
「さァ用は済んだ野郎ども!!海へ繰り出すぞォォ!!」
おォォォ!!!!とクルーの声と共にゆっくりとモビーディック号が港を離れていく。
だが、そんな簡単に逃がすほどバスターコールは甘くない。
「あれは……!」
離れ小島と海軍基地を取り囲むように、巨大な鉄の壁が立ち塞がる。
切れ目はない。このままいけば確実に壁にぶつかり沈んでしまう。