第102章 船医
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「すみません、無駄話に付き合わせてしまって」
「いいえ。お茶、ごちそうさまでした」
起きたエースと共にセトの家を後にする。
「何話してたんだ?」
「ちょっと、世間話」
まだエースは知らなくてもいいことだろう。異世界の民については胸に秘め、水琴はそういえばと話を逸らす。
「そろそろ時間じゃない?デュースと合流しないと」
「そうだったな」
正午を差す時計を確認し足早に酒場へと向かう。
そこには既にデュースが待っていた。
「ごめん、待った?」
「いや、ついさっき来たところだ。早速情報交換を__と言いたいとこだが」
飯の方が良いだろうな、とデュースは席に着くエースを見る。
そこには盛大に腹の虫を鳴らすエースがメニュー片手に目を輝かせていた。
「やっぱ肉は外せねェよな。お前らはどうする?」
「……私は軽くでいいや」
「俺も少しでいい」
あんなに食べ歩いたのにまだ食べるか。
苦笑しつつ、水琴は手を挙げ店員を呼び止めた。
注文の品が届き勢いよくかきこむエースを余所に水琴とデュースは互いに得た情報を交換する。
「__なるほど。じゃあその海賊団はスラムにいる可能性が高いんだな」
「そう。デュースの方は何か良い情報あった?」
「あぁ。何人か候補は挙がったが、個人的にはキールってやつが良さそうだな」
「キール?」
「なんだ、お前ら知ってるのか」
「実は……」
水琴は先程の通りでの騒動とセトとの一件を手短に話す。そういうことか、とデュースは納得するように頷いた。