第7章 うなれ体育祭
花火の音が鳴り響き、雄英高校の敷地内には一般人や生徒たちの保護者。マスコミからプロヒーローまで多くの人で賑わいを集めていた。普段生徒たちが登下校を繰り返す大通りには屋台が建てられ、美味しそうな匂いを漂わせている。まるでお祭りのような賑わいを見せている一方で裏側には体育祭開始に向けて緊張をほぐす者や気合いを入れる者など様々な意気込みを抱えている生徒たちが詰め込まれた部屋があった。1年A組の控え室だ。その控え室には1年A組の委員長である飯田の声が響いていた。飯田は体育祭であってもいつも通りに学級委員長の務めを果たしているようだ。そしてもう少しで入場の時間となる時に、何やら一触即発が起こりそうな雰囲気になってきた。
「緑谷」
「轟くん……何?」
緊張する自分を落ち着かせようと心臓の前に手を当てて目を閉じていた緑谷。その緑谷の前に轟が片腕をポケットに入れながら立ち塞がる。そんな彼らを見て控え室には静寂が走る。
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思うお前オールマイトに目ぇかけられてるよな」
轟の発言に言と緑谷は目を丸くする。今の発言から、もしかしたら彼は緑谷とオールマイト先生の関係に気がついているかもしれないのでは?と言は考えた。
「別にそこ詮索するつもりはねえが…お前には勝つぞ」
そう言い放った轟の瞳には明確な敵意があった。
「おお?!クラス最強が宣戦布告!!?」
「急にケンカ腰でどうした!?直前にやめろって…」
横目で彼らの話を聞いていた上鳴は顔を強ばらせながらそう言い、切島は椅子から立ち上がり緑谷と轟の間に割って入る。
「仲良しごっこじゃねえんだ何だって良いだろ」
轟を宥めるように切島は彼の肩に手を置いたがすぐに払われてしまう。そして轟は緑谷に背を向けて控え室を後にしようとする。
(轟くんなんでこんなにピリピリしているんだろう?いつもはこんな感じじゃ無いよね…)