第7章 うなれ体育祭
「ほっっっっんとうにごめん!!!」
『だ、大丈夫…悪気があってやったんじゃないのは分かってるから』
未だかつて、見たことの無いほどに綺麗な土下座をする切島さん。その後、土下座をし終えた切島さんから体操着を渡され一度は断ったのだが、断りきれずに体操着を借りて袖を通す。そしてまだ収まりきらない頬の暑さを冷ますように手で顔を扇いだ。恥ずかしさからか上手く切島さんの顔を見ることが出来ない。でも話をしないとそれ以上に気まずくなるので私は先程の会話の内容に戻す。
『ここの傷はこの間できたんじゃなくて昔からあったの』
「昔から…」
『詳しくは私も覚えてないのだけれど…とりあえずUSJの時の傷では無いから安心して!』
傷跡がある腹部を触りながら話す私の言葉を真剣な眼差しで聞きいれてくれる切島さん。彼に心配を残させまいと私は笑顔を作って問題がない事を伝えた。
「それにしても何であんな状況になってたんだ?」
『体育祭に向けて練習したかったんだって。私もそれを了承したから…だから爆豪さんだけが悪い訳では無いの』
「そっか…うわぁ〜!爆豪に悪ぃ事しちまった…ダメだ。やっぱ俺気が収まらねぇから爆豪追っかけて謝ってくる」
頭を抱えて爆豪さんに罪悪感を募らせる切島さん。先程の自分の行動に納得出来なかったのか爆豪さんを追いかけると言って体育館を後にしようとする。
『うん、分かった。体操着は明日洗って返すね』
「おう!お互い体育祭頑張ろうな!」
『…うん。頑張ろうね』
切島の眩しすぎる笑顔と言動に手を振り返して答える言。そんな彼女の瞳の奥に笑顔はなく。灰色の曇り空が延々と続いているようだった。
その後、クラス全員の体育祭参加種目が決定。それに伴う個々人の準備。2週間という時間はあっという間に過ぎていき、雄英体育祭本番当日を迎えた。