第7章 うなれ体育祭
「うお!ビックリしたーって爆豪…に、言?!!」
体育館の扉を開いたのは切島さんだった。突然の爆発音に驚きながらも体育館の中に入ってくる切島さんは爆豪さんと私の姿を見て目を丸くし、目の前に映る光景を見て眉を寄せた。
「おい、爆豪!!何やってんだよ!怪我が治ったとはいえ言は病み上がりなんだぞっ!!!」
切島さんの目に映ったのは爆豪さんに襟元を強く引っ張られ、なすすべも無く彼の攻撃を受けている私。いや状況的には全て合っているのだがこれでは完全に爆豪さんが悪役に見えるだろう。そしてその通りに受け取った切島さんは爆豪さんに向けて一喝した。
「チッ…白けた。もうイイわ…」
切島さんの言葉を聞いて眉間に皺を寄せた爆豪さんは、私から手を離して床に落ちていた自身の体操着を拾い上げイラつきを発散するように体育館の扉を荒々しく開けて出て行った。
「え、おい!爆豪!!…~っ言大丈夫か?!」
切島さんは体育館から出て行く爆豪さんを追いかけようとする。しかし目の前で怪我をしている私を見捨てるわけにもいかなかったのか、悩んだ素振りを見せてこちらに駆け寄ってきた。
「あー…顔とかは汚れてるだけか、腕はちょっと火傷してるか」
切島さんは私の顔に優しく手を当てて怪我の確認をする。ちなみにあんなに大きな爆発だったが爆豪さんは何故か既のところで個性の発動位置をずらし私はかすり傷程度で済んだのだ。いや、彼から突然攻撃を仕掛けてきてかすり傷程度で済んだって言うのもおかしな話だと思うけれども…
『あっ、体操着が…』
服装を正そうと体操着を引っ張ると焼け焦げてしまったのか腹部辺りの布が崩れ落ちて私の肌が露出する形となった。
「え?!あ!!ご、ごめん!すぐ目反らすか、ら……」
顔を赤らめて視線を泳がせる切島さん。しかし私の腹部を見た途端、言葉を失い私の肩を掴んだ。
「この傷?!なんの傷だよ!まさか…この間の…!」
私を揺さぶる切島さん。だが私は今、自分の腹部の傷を気にしているどころではなかった。私の傷の心配をしているとは言え彼は直で私の腹部を触り体操着を捲り上げているのだ。
『やっ……切島さん…恥ずかしい』
私は恥ずかしさに震え、頬を赤く染めながらか弱い声で切島さんにそう伝えた。