第7章 うなれ体育祭
「本気で戦えや!!」
私は襟元を強く引っ張られながらも口を閉ざして爆豪さんをただじっと見つめた。そんな私の顔を見てか爆豪さんは顔を歪める。
「っ…お前も”アイツ”と一緒なんか?!そりゃ入学当初からずっと仲良さげだもんな゛ぁ!!”アイツ”と一緒になって嘲笑ってんだろ!!」
『そんなことしてないよ』
───”アイツ”とは緑谷くんの事だろう…個性把握テストや戦闘訓練で彼が緑谷くんに劣等感を抱いているのは確かだった。そして先の襲撃事件での緑谷くんの行動で彼の中にある自尊心が打ち砕かれかけているのだろう。いや、一度折れた自尊心がまた折れかけていると言った方が正しいのかな…
「うるせぇ!!!ホントにテメェのそういう…いけしゃあしゃあとしてる所が目障りで仕方ねぇ!…分かんだよ。オマエ、ヒーロー目指してないだろ」
『それは…』
「ンでそんなヤツが何でココにっ…ヒーロー科にいるんだよ!!」
『そんなの……自分が1番……』
自身の腕を振りかざし個性を発動させようとする爆豪さん。そんな彼に体操着を掴まれている私は無抵抗のまま喉から振り絞るように声を出した。しかし絞り出した声は爆豪さんの耳に入るには小さすぎたようで、私が口を紡ぐのと同時に腕を振り下ろしてきた。私は抵抗する素振りを見せずにただ爆発の衝撃が来るのを待った。そして大きな爆発音と共に体育館の扉が開いた。