第7章 うなれ体育祭
体育祭が始まる前からこんな感じで1年A組は大丈夫なのだろうかと言う不安を抱きつつ、私は教室前の人混みを掻き分け保健室にへと向かう。そして保健室前に着いた私はノックをして扉を開ける
『失礼します、八百万言です』
「おや、遅かったじゃないか。ささ!早く検査始めちゃうよ!」
リカバリーガールは回転する椅子に座っていて私が保健室に入ってきたことに気がつくと椅子をくるりと回転させ、手招きしながら検査の準備を始める。
「はい、検査終了〜ペッツおたべ。一昨日の身体検査結果、怪我した所以外は特に異常なし、怪我してるところも後遺症とかそういうのは全く残らないから安心しなね」
『…そうですか』
私はリカバリーガールに頂いたペッツを手に持ちながら安堵の表情を見せる。しかしリカバリーガールの顔はあまり喜ばしい面持ちではなかった。
「でも、少し脳の所が引っ掛かってね」
『…怪我をした所ですか?』
「いや、引っ掛かったのは脳の内部だ」
リカバリーガールは自身の頭をトントンとつつくジェスチャーをする。私が先程まで浮かべていた安堵の表情は徐々に薄れていき、今は不安げな表情を見せる。
『脳の内部…?』
「あぁ、攻撃されたところとは全然関係のない場所だったよ。あんた何か薬は飲んでいるかい?」
『はい。毎日食後に偏頭痛を抑える薬を』
「その薬、今あるかい?」
『ありますが…何に使うんですか?』
「一応その薬があんたの身体にあっているか調べるんだよ」
『でもそれ昔からずっと飲んでいて…』
「思春期の身体は変わりやすいもんさ急に薬が合わなくなることぐらいよくある。まぁ、この薬が原因かは分からないけど一応調べさせてくれ」
『はい…わかりました』
私は深刻な表情を浮かべながら、カバンの中に入っていた薬を手に取ってリカバリーガールに渡した。
「別に死ぬ病気が見つかったわけでもないんだから!さぁ、早くおかえり!時期が時期だ家族も心配するだろ!」
『わっ!あ、ありがとうございました。失礼します』
リカバリーガールは私の顔を見て励ますように背中を叩いた。突然叩かれた背中をおさえながら私はリカバリーガールにお礼を言って保健室を後にした。
「……………一体どうなってるんだかねぇ…」