第7章 うなれ体育祭
秘密の会議を交わしたお昼休みが終了。そして午後の授業も済んで今は放課後。しかし何やら教室の前はザワザワと賑わっている。私はまだ帰りの準備が終わっていないのにも関わらず1度手を止めて教室の外が見える位置まで顔を出す。
「うおおお…」
『あらまぁ…』
「何ごとだあ!!!!?」
私たちが目にしたのは溢れんばかりの人集りだった。彼らの大半は何故かスマホ片手に私たちの顔を指さしてあれやこれやと呟いていた。
「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ」
爆豪さんが峰田さんにそう言い放つと彼は爆豪さんを指さして「なんなんだよあいつ」とでも言いたげな顔をして緑谷くんに訴えていた。
「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな体育祭の前に見ときてえんだろ意味ねェからどけ、モブ共」
「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」
爆豪さんは少しイラついているのかいつもより眉間に皺を寄せていた。そしてその言葉に反応したのか人混みの中から男の人の声が聞こえてくる。
「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだな、ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
普通科の男子と思われる人がそう言うと緑谷くんと飯田くんは全力で首を横に振った。
「ああ?!」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ知ってた?」
紫髪の人は少し気だるげな態度で人混みの中から爆豪さんの目の前に現れる。
「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだってその逆もまた然りらしいよ……」
その逆…つまりヒーロー科が普通科などの他の科に編入させられる事もある、という事…
「敵情視察?少なくとも俺は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
紫髪の男の子はポケットに手を突っ込みながら爆豪さんの目を見て大胆不敵に言い放った。どんどん険悪なムード漂う1年A組の教室の前、そしてそのムードをより悪化させそうな人がおうおう!と声を上げて近づいてくる。