第7章 うなれ体育祭
「僕が…来たって…でも、どうやって…」
「雄英体育祭のシステムは知っているね?」
「っハイ!もちろん!」
「そう!!つまり、それこそが全力で自己アピール出来る!!」
オールマイト先生は両手で緑谷くんをビシッと指をさすが。
「ハァ…」
『えっ、反応薄い』
オールマイト先生はそんな緑谷くんの予想外の反応に大袈裟にソファから転がり落ちていった。私も彼がここまで反応が薄いとは思わなかったのでつい思ったことを口に出してしまう。
「いや…あの…仰ることはもっともです…」
その後、緑谷くん恒例の怒涛のブツブツタイムが始まり私たちは黙って彼の話を聞いたところ。USJ事件の事であまり体育祭に乗り切れない。今オールマイト先生に見て貰えているだけでも充分。体力テストでも光る結果では無かったので自分が体育祭でも目立てるとは思えない。と言った理由から、先程の反応の薄さだったらしい。
私はある意味緑谷くんらしい考えではあるかなと思ったのだが、オールマイト先生は未だにソファから起き上がろうとせずその場に倒れたまま口を開く。
「ナンセンス界じゃ他の追随を許さないな君は!!」
「ナンセンス界…!」
「常にトップを狙う者とそう出ない者…そのわずかな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ」
緑谷くんに向けて言い放った筈のオールマイト先生の言葉が私の胸にチクリと刺さる。
「気持ちはわかるし私の都合だ強制はしない、ただ…海浜公園でのあの気持ちを忘れないでくれよな」
「はい……」
「あと言少女!!」
『え、あっ…はい』
私は先程のオールマイト先生の言葉に呆然としてしまい、返事が遅れる。
「…? 午後の授業が終わったらリカバリーガールのもとに行ってくれ!一昨日の検査の結果ともう一度身体に異常がないか念の為検査するそうだ!」
『はい、わかりました』
返事が遅れた私に違和感を覚えながらもオールマイ先生はそれに触れることなく、リカバリーガールから承った言伝を私に伝えてくれた。
「2人とも貴重な休み時間に引き留めてしまってすまなかったな!」
「いえ!大丈夫です!」
『大切なお話ですから』
顔を見合せた私と緑谷くんは椅子から立ち上がり「失礼します」と一言添えて仮眠室を後にした。