第7章 うなれ体育祭
相澤先生から雄英体育祭についての話が終わり、その後は普段通りの授業を受けて四限目の現代文の授業が終了。お昼休みの時間となった。
「あんなことがあったけど…なんだかんだテンション上がるなオイ!!活躍して目立ちゃプロへの1歩を踏み出せる!」
雄英体育祭が開催されることを知った1年A組のお昼休みはその話題で持ち切りだった。普段なら速攻で購買に昼食を買いに行く人たちも今日ばかりは教室の真ん中で群れを作り、語らっていた。
「皆すごいノリノリだ…」
『だねぇ』
私と緑谷くんが賑やかしく雄英体育祭の話で盛り上がっている集団を見てほのぼのと話をしていると飯田さんに声を掛けられた。
「君たちは違うのか?ヒーローになる為在籍しているのだから燃えるのは当然だろう?!」
飯田さんはそう言って腰をグッと曲げた。
「飯田ちゃん独特な燃え方ね、変」
「僕もそりゃそうだよ!?でも何か…」
「デクくん、飯田くん、言ちゃん…」
独特な燃え方を蛙吹さんに指摘される飯田さん。そして飯田さんの問いかけに否定を示そうとした緑谷くんの話を遮って、熱を帯びた声がどこからか聞こえてくる。
「頑張ろうね体育祭」
そこには体育祭に向けてかなり気合が入っているのか眉間に皺を寄せ、いつもの朗らかな表情の面影は皆無のお茶子ちゃんがいた。
「顔がアレだよ麗日さん!!?」
「どうした?全然うららかじゃないよ麗日」
「生…」
峰田さんの口から出てきそうになった完全アウトなセクハラワードに、蛙吹さんと私で峰田さんの両頬を一切手加減せずに思いっ切り引っ叩く。
「皆!!私!!頑張る!」
お茶子ちゃんは凄い形相で片腕を上に勢いよく上げながらそう言った。皆、体育祭に向けてそれぞれの意気込みがあるようで私はそんなクラスの様子を見て1人だけポツンと取り残されてしまった気持ちになる。
『プロヒーローか…』
皆は目標があってこの学校に在籍している。”ヒーローになる”と言う目標を掲げて。他の皆には申し訳ないが私はヒーローになる為にこの学校を受験して入学したのではない。この学校に入学したのは百ちゃんがいるからだった。だから、この体育祭の意気込みとかも特にはない。
(私は今ここで何をしているんだろう……)