第7章 うなれ体育祭
「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」
相澤先生に戦いと言われて少し身構えた私たちはいい意味で予想を裏切られ、雄英体育祭が迫っている事を聞いた途端クラスは大いに盛り上がる。
『でもヴィランに侵入されたばかりなのに体育祭開いても大丈夫なんですか…』
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ何よりウチの体育祭は……”最大のチャンス”ヴィランごときで中止していい催しじゃねぇ」
「いや、そこは中止しよう?」
峰田さんは顔を強ばらせながらそう呟く。そして緑谷くんはそんな雄英体育祭に乗り気でない峰田さんを見てバッと後ろを振り向き驚いた表情を見せる。
「峰田くん…雄英体育祭見たことないの!?」
「あるに決まってんだろ、そういうことじゃなくてよー…」
そう、この雄英高校の体育祭は日本のビッグイベントの1つ。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂したが、今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した。そして日本に於いて今「かつてのオリンピック」に代わるのが雄英体育祭なのだ。
「当然、全国のトップヒーローも観ますのよスカウト目的でね!」
「資格修得後はプロ事務所にサイドキック入がセオリーだもんな」
「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね上鳴あんたそーなりそうアホだし」
「くっ!!」
皆が口にする通り当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなりプロに見込まれればその場で将来が拓ける。そして雄英体育祭は年に1回…計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントなのだ。