第6章 ヴィラン襲来
「…オールマイト久しぶり!」
「塚内くん!!君もこっちに来てたのか!!」
爽やかな声色で茶色のトレンチコートを着た警察の方が保健室に入室する。先程まで頭に被っていたのであろう帽子を胸の辺りで押さえ、片手を上げながらオールマイト先生に挨拶を交わす。そしてオールマイト先生も驚いた様子で口から血を少量吐きだした。
「オールマイト…!え…良いんですか!?姿が…」
「ああ!大丈夫さ!何故って!?彼は最も仲良しの警察塚内直正くんだからさ!」
───そう言えば私がオールマイト先生と緑谷くんについての関係を知っている人の説明を受けた時緑谷少年・校長・リカバリーガールそして”親しき友人”の4人がいるって言ってた…。その親しき友人が彼ということだろうか。
「ハッッ、何だその紹介早速で悪いがオールマイト敵について詳しく…」
塚内さんは乾いた笑いでオールマイト先生の紹介を受け流すと、直ぐに空気が仕事モードにへと切り替わり事情聴取を始めようとした。
「待った、待ってくれ、それより…生徒は皆無事か!?相澤…イレイザーヘッドと13号は!!先程の連絡は本当か!!?」
オールマイト先生は塚内さんの話に待ったをかけて先程リカバリーガールから伝えられた連絡が正確な情報であるかを塚内さんに確かめる。
「…生徒はそこの彼と彼女以外軽傷数名、教師2人はとりあえず命に別状はなし。先程の連絡は本当だ。3人のヒーローが身を挺していなければ生徒らも無事じゃいられなかったろうな」
塚内さんはそんな生徒と同僚を心配するオールマイト先生の姿にふぅと息をつく。私にはそのため息がまるで「昔から変わってないな」というような意味を込められているように感じられた
「そうか…しかし1つ違うぜ塚内くん生徒らもまた戦い身を挺した!!こんなにも早く実戦を経験し、生き残り大人の世界を恐怖を知った1年生など今まであっただろうか!?ヴィランも馬鹿なことをした!!このクラスは強いヒーローになるぞ!!」
オールマイト先生は私と緑谷くんに顔を向けて、今にも折れそうな細い腕に力を込めて親指をたてた。
「私はそう確信しているよ」