第6章 ヴィラン襲来
体に響く鈍い痛みと微かに聞こえる会話で私は目を覚ます。ゆっくりと瞼を開けると白い天井に白いカーテン、そして鼻を刺す薬品の匂い。ここは一度見た事のある景色だった。
「おや、やっと目を覚ましたかい」
私は起き上がろうと体を上げるがピクリとも動かなかった為、ベットで横になりながら視線だけ声が聞こえてきた方向に向ける。視線の先には椅子に腰を掛けたリカバリーガールがいた。
『リカバリーガール…あの、私…』
「言少女!!やっと起きたか!!」
「言さん!!!大丈夫!!?」
私の話を遮るように2人の声が聞こえてくる。そして私はまた声がした方向に目だけを向けるとオールマイト先生と緑谷くんも私と同様にベットで横になっていた。
「ちょっとアンタ達!静かになさい!」
リカバリーガールが椅子に座りながら緑谷くんとオールマイト先生に一喝する。
『あはは…えっと私、気を失ったとこまでは覚えてるんですけどあの後どうなりましたか?クラスの皆…先生って無事ですか?』
「生徒達はあんたらを除いたら全員無事だよ。ちなみにあんたは右頭部と右腹部から出血。どちらも後遺症が残ったりしないから安心しな」
クラスの皆、そして百ちゃんは無事だということをリカバリーガールの口から聞けた事に私はホッと胸をなでおろし安堵の表情みせる。
「また、イレイザーヘッドは両腕粉砕骨折と顔面骨折。脳系の損傷は見受けられなかったけど眼窩底骨が粉々になっていてもしかしたら眼に後遺症が残るかもしれない状態さ」
『そんなっ…』
USJで相澤先生を見かけた時、確かに酷い怪我を負っていたがまさか後遺症が残る程の怪我だとは思わず私は口をおさえる。また13号先生も怪我を負ったものの命に別状はないそうだ。2人の先生方は私たちを護るために命懸けで戦い大怪我を負っていた。本当に相澤先生と13号先生には感謝しかない…
「多分だが…私また活動限界早まったかな…1時間くらいはまだ欲しいが…」
「今回は事情が事情なだけに小言も言えないね」
「オールマイト…!」
「まー仕方ないさ!こういう事もある!」
オールマイト先生が体を起こしながらそう言うと
「失礼します」
と聞き覚えのない男性の声が保健室の扉の前から聞こえてきて、一拍置いて保健室の扉が開く。