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【ヒロアカ】folklore

第6章 ヴィラン襲来



昼下がりの午後。とある都市部のビルの一棟に外の光を完全に遮断し、怪しげな雰囲気を醸し出すバーがあった。バーの床は暖かみを感じる木材を使っており、壁はレンガ造り。そして思いのほか綺麗にされたバーカウンターの目の前には均等に並べられたバーチェアがあり、人工的な光はカウンターバックのボトル棚に設置されたライトのみだ。店員も客も居ない、そんな薄暗い部屋になんの前触れも無く黒いワープゲートが現れる。


「ってえ…両腕両脚撃たれた…完敗だ…脳無もやられた。手下共は瞬殺だ…子どもも強かった…」


ワープゲートから現れたのは先刻、雄英高校に無断侵入を果たしてオールマイト殺しを画策したヴィラン連合の死柄木弔だった。小言を呟きながら出てきた死柄木の体からは大量の血が流れ、床を赤に染め上げる。


「平和の象徴は健在だった…!話が違うぞ先生…」


死柄木はバーカウンターの隅に置かれた薄暗く光るモニターに怒りをのせた声を放つ。


「違わないよ」


死柄木の問いかけにそう言って低音を響かせる男性。


「ただ見通しが甘かったね」

「うむ…なめすぎたな。ヴィラン連合なんちうチープな団体名で良かったわい」


死柄木が先生と呼ぶ男以外にも年老いた男の声も聞こえてくる。どうらやらモニターの先には2人いるようだ。またSOUND ONLYと表示されたモニターは少し古いものなのだろうか彼らが喋る度に画面が揺らいでいた。死柄木と黒霧は先程のUSJでの出来事を画面の向こう側にいる2人に話して暫くした時、死柄木がタイミングを見計らっていたのかとある話題を出す。


「…先生が目をつけていた”個性”を持ったやつがいた」

「やはり!」


死柄木が目を伏せながらとある個性を持った人物がいた事を報告すると、先生と呼ばれる男は今日一番の嬉々とした声を上げた。


「あぁ…あの個性を手に入れられたらどんなに嬉しいことか…」

「…実際に個性を使うところを見たが特段強そうって訳じゃなかった。なんで先生はあの個性をそんなに欲しがるんだ」

「あの個性の真価はまだ分からないよ。もう少し…もう少ししたらわかるはずさ」


画面の向こう側にいた男は椅子に背を預け、椅子が軋む音と同時に口角を上げた。




「あぁ本当に、彼女に会うのが楽しみだ」





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