第6章 ヴィラン襲来
「僕だけが…知ってるんだ…オールマイトは恐らく限界を超えてしまってる…!」
死柄木弔が黒いモヤの男と一緒にオールマイト先生に向かって走り出した。それと同時に緑谷くんも飛び出してしまっていた。
『緑谷くん……だ…めだよ…』
私は緑谷くんを引き留めようと体を一生懸命動かそうとするが体がいうことを聞いてくれる筈もなく、ただ弱々しく爆豪さんの腕を掴むことしかできない。
「……おい」
そして爆豪は自身の腕中で悔しげな表情を浮かべる言を見て、顔を顰めながら声を漏らした。
「な…緑谷!!」
「オールマイトから離れろ!!!」
個性を使って飛び出した反動で緑谷くんの足は折れる。だが足を犠牲にした分、尋常ではないスピードで死柄木たちの目に前に移動する。
「2度目はありませんよ!!」
黒いモヤの男がワープゲートを作りだす。その作り出したワープゲートを使って死柄木弔が緑谷くんに攻撃しようとした瞬間、鈍い音を立てて死柄木の手には銃弾が貫通する。
「来たか!!!」
オールマイト先生は血を吐きながらそう声を上げ、USJの入口に目を向ける。そしてその視線の先にいたのは─────
「1-Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!!」
真っ直ぐと芯の通った、良く響く声がUSJ全体に轟く。入口に現れたのは飯田さん、そして学校の先生…いやプロヒーロー達だった。
「あーあ来ちゃったな…ゲームオーバーだ帰って出直すか黒霧……ぐっ!!」
「この距離で捕獲可能な”やつ”は──…」
「これは…!」
「僕だ…!!!」
この場から逃げようとした死柄木弔にスナイプ先生が逃げる隙を与えまいと銃を乱射する。そして傷を負いながらも13号先生は個性を使い、黒霧と死柄木を捕らえようとしていた。
「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ平和の象徴オールマイト」
死柄木弔はオールマイト先生に向けて目を血ばらせながらそう言い放ち、モヤの中へと吸い込まれて行った。
プロが相手にしているもの…世界。
それは私たちにはまだ早すぎる経験だった。
そしてこの襲撃は後に起こる大事件の始まりだと
この時はまだ、知る由もなかった…