第6章 ヴィラン襲来
まるで自分のオモチャを見せびらかすかのような…喜々とした声色で脳無の説明をし始めた首謀者らしき男。すると脳無の半身は完全に再生し、黒いモヤの男を押さえつけていた爆豪さん目掛け走り出す。私は嫌な気配を察知し、脳無とほぼ同時に動き出した。
オールマイト先生を殺すために作られたヴィランだ。運動能力…戦闘能力…全てにおいて私が勝るわけがないのに。勝ち目なんてないのに走り出してしまった。ただ彼を”助けたい”。その思いだけが私を動かした。
『っ…爆豪さん!!』
そして脳無が目にも止まらぬスピードで爆豪を攻撃をしたかと思われたが、どういうわけか爆豪は緑谷・轟・切島の後ろに移動していた。
「かっちゃん!かっちゃん!?なんで後ろに!?避っ避けたの?!すご…」
「ちげぇっ!!!!」
爆豪はそんな緑谷に声を荒らげ、ただ一点を見つめて押し黙っている。
「おい!!言は!?」
切島はふと自分たちの周りに先程までいた言がいないことに気がつく。そして爆豪が見つめる視線の先を見てハッと息を飲んだ。脳裏に浮かんだのは最悪の予想だった。その予想が当たらなければいいとその場にいた誰もが思った。
「おいまさかっ…!さっきの攻撃に!」
「ゴホッ…ゲホ…セーフ…とは言い難い状況だなっ…!」
「……オイ…何してんだよ…お前……!」
しかし当たって欲しくない予想ほど当たってしまうものだ…。脳無の攻撃で舞い上がった砂煙が晴れそこに映るのは言を抱き抱え大きく咳込むオールマイトの姿だった。そしてオールマイトに抱き抱えられている言は腹部と頭部から血を流していた。そんな言の様子を目にした爆豪は歯を噛み締めながらそう声を漏らした。