第6章 ヴィラン襲来
轟くんの個性のおかげでオールマイト先生を掴んでいたヴィランの手が緩んだのか、一瞬の隙をついてヴィランの拘束から解かれることが出来た。しかしオールマイト先生の腹部の傷は深く、未だ止まることなく血が流れている。
「出入口を押さえられた…こりゃあ…ピンチだなあ…」
そしてこの奇襲の首謀者らしき男は爆豪さんに張り倒される黒いモヤの男を心配する素振りなども見せることなく、彼を見下ろしながらそう呟いた。
「このウッカリヤローめ!やっぱり思った通りだ!モヤ状のワープゲートになれる箇所は”限られてる”!そのモヤゲートで実体部分を覆ってたんだろ!?そうだろ!?全身モヤの物理無効人生なら危ないっつー発想は出ねぇもんなぁ!!」
「ぬぅっ…」
爆豪さんはたったそれだけの黒いモヤの男が呟いたその一言で弱点を炙り出していたのだ。そして頭でそれを即座に理解して実行出来るその戦闘能力のセンス、正直羨ましい限りだ…。そうして黒いモヤの男は悔しそうに声を漏らし爆豪さんの顔をキッと睨みつける。
「っと動くな…!!”怪しい動きした”と俺が判断したらすぐ爆破する!!」
そして爆豪さんはそんな男の行動を見てまるでどちらかヴィランなのか分からない程の表情と言葉で黒いモヤの男を押さえつける。
「ヒーローらしからぬ言動…」
切島さんも同じ事を考えたのか、そんな彼の言動に少し引き気味でそう呟いた。
「攻略された上に全員ほぼ無傷…すごいなぁ最近の子どもは…恥ずかしくなってくるぜヴィラン連合…!脳無、爆発小僧をやっつけろ出入口の奪還だ」
オールマイト先生と戦っていたヴィランは”脳無”と言うらしい。そして脳無はワープゲートから無理やり体を持ち上げ、先程まで凍らされた右腕をボロボロと崩しながら立ち上がる。
『なに、あれ…』
「身体が割れているのに…動いている…」
「皆下がれ!!なんだ!?ショック吸収の”個性”じゃないのか!?」
私たちはその脳無の不気味過ぎる動きに明らさまに嫌悪感を示す。そして脳無の体はクネクネと不気味な動きを交えながら再生していく。その動きはホラー映画に出てくるようなモンスターと何ら変わりはなかった。
「別にそれだけとは言ってないだろうこれは”超再生”だな。脳無はおまえの100%にも耐えられるよう改造された超高性能サンドバック人間さ」