第6章 ヴィラン襲来
轟くんと私は最短ルートで土砂ゾーンを抜けて、セントラル広場に向かっていた。私たちは土砂ゾーンを無事抜けられてもヴィラン達がまた出入口近くなどで待ち構えており、セントラル広場まで行くのに時間がかかるかもしれないと予想を踏んだが抜けた先には誰もおらず、私たちの考えは杞憂に終わった。そして状況を整理するにヴィラン達は入口付近やセントラル広場、そして各災害ゾーンにしか配置されていないようだ。
『ねぇ轟くんっ…!あれ、まずいよね!!』
そんな慌てた声を上げた私が指さす先には、鳥のような男に腹部を手で抉られているオールマイト先生の姿があった。傷口からは血がじんわりと染み出していた。
「!!…あぁ、まずいな」
(オールマイト先生っ…!!)
私たちがUSJに着いた時に相澤先生と13号先生が2人きりで話していた時があった。そしてその時、彼女の指はひっそりと”3”を表していた。あれはこの間オールマイト先生から聞いた一日の活動限界時間のタイムリミットだ。オールマイト先生がUSJに来るのが遅れたのは何らかの理由があってそのタイムリミットが学校に着く前に切れてしまったからだろう。
であれば今オールマイト先生は活動限界時間をオーバーしながらヴィランと戦っている。オールマイト先生の秘密を知っているのは生徒の中ではUSJ内で私と緑谷くんだけ。13号先生も相澤先生も他のヴィラン達の相手でこちらまできっと手が回らないだろう…なら、私たちがなんとかしなきゃ…!!
「なぁ、あっち側から走って来てるのって爆豪とかだよな」
『えっ、本当だ。爆豪さんに切島さん!それに場所は違うけど緑谷くんや蛙吹さんもいる。相澤先生…酷い怪我っ…!』
凄まじい勢いで私たちと同じくセントラル広場に向かう爆豪さんと切島さん。そしてそのセントラル広場には緑谷くんと蛙吹さん・峰田さん・相澤先生がいた。緑谷くんと峰田さんに担がれた相澤先生は見るに耐え難い程の大怪我を負っていた。