第6章 ヴィラン襲来
轟くんの尋問に顔色を蒼白にさせたヴィランはあっさりと私たちに今回の奇襲作戦…オールマイト先生を亡き者にする為の策を漏らしてくれた。
『あの黒いモヤの男と体中に手をいっぱい装着している男。あと鳥みたいな男がオールマイト殺しを実行する役ってことね』
「……向かうか」
私はヴィランが漏らした奇襲作戦の策の要点を口に出しながら整理していると、ヴィランの前でしゃがんでいた轟くんが腰を上げて立ち上がる。
『え、どこに…』
「そのオールマイト殺しをしようとしてるヤツらのところにだよ」
轟くんは当然だろとでも言わんばかりの顔を浮かべ、セントラル広場がある方向に視線を向けた。
『…! うんそうだね。私も行こうと思ってた』
───私がセントラル広場に向かう理由は百ちゃんやクラスのみんな、先生方が心配なのもある。でもそれ以上に私が今一番頭で気にかけていたのは緑谷くんの事だった。さっきの話を知った緑谷くんがどうするか、それが頭の中でふとよぎってしまったのだ。第一、黒いモヤの男がオールマイト先生を殺すと言う発言をした時点で彼がオールマイト先生の為に自分を犠牲にして無茶をするのは分かりきっている。もしかしたら既に無茶しているかもしれない。
(どうか無事でいて…!)
そしてオールマイト殺しを企んだこの奇襲の首謀者がいるセントラル広場へ向かおうとした瞬間、USJの入口の扉が大きな音を立てて壊れる。
『また新しいヴィラン?』
「いや、ちげぇ…あれは…」
扉を破壊した勢いで噴煙が舞い、扉の目の前に誰かがいるのは分かっているがその姿をハッキリと捉えることが出来ない。そして数秒経ち噴煙が晴れた先に立っていたのは、どんなピンチの時でも救けに来てくれる。そんな最高のヒーローだった。
「もう大丈夫!!!私が来た!」
そう言ってオールマイト先生はネクタイを力いっぱいに引きちぎり、怒りをあらわにした表情で立っていた。
『オールマイト先生!』
「これはこれで厄介になるな。とりあえず早く奴らのところに向かおう」
『うん…!』