第2章 踏み出せ第1歩
突然の試験開始のアナウンスに言を含めた受験者達は一瞬呆気に取られてしまったが直ぐに行動を開始。皆、演習場に駆け込む。
ちなみにこの試験はヴィランの数も配置の場所も先程の説明で受験者達に伝える事は無かった。つまり雄英高校側はこの限られた時間と広大な敷地で如何に情報力・機動力・判断力・戦闘力等があるのかを見ていることになる。
『口、動かしてこ』
言は再度気持ちを引き締め試験に望んだ。
そして試験は着々と進み、点数も順調に稼いでいた。
(今日は個性の調子がかなりいい。朝、特製の蜂蜜ティーを作ってもらったからかな)
そんな呑気なことを考えながらも、他の受験生とは違って余裕の表情を浮かべながら淡々と目の前に現れる仮想ヴィランを倒していく。また試験の開始時間を考えるに試験終了もそろそろと言ったところだ。
『いい感じ。まだ稼げそう』
額に流れる汗を服の袖で拭いながらそう呟く。その瞬間、0Pの超巨大ロボが現れた。それは想像を絶する大きさで、地面を唸らしビルを破壊しながら受験者の前に出現したのだ。超巨大ロボから距離を取るために受験者達は一目散にロボと反対の方向にへと走り出す。
『流石にあれを相手にするのは無理っ…』
言も他の受験者と同様に巨大ロボから逃げようと考えたその時─────
「いったぁ…」
何処からか女の子の声が聞こえてきた。言は声が聞こえてきた方向に目を向けると、そこには足が瓦礫に挟まれ身動きが取れなくなっている女の子の姿があった。先程の超巨大ロボが出現した時の建物の瓦礫が落ちてきてこの様な状態になったのだろう。
また、顔をよく見ると彼女は先程緑髪の男の子を個性で助けていた子だった。超巨大ロボは動きを止めることなくこちらに向かってきている。このままでは彼女がロボに潰されるのも時間の問題。
『助けなきゃ…!』
彼女のもとに向かおうと足を1歩踏み出した時だった後ろから凄まじい勢いの風が吹いたのだ。あまりの風圧に言は一瞬目を閉じる。
そして目を開いた瞬間、そこには朝見かけた緑髪の男の子がロボの顔の部分まで飛んでいき腕を大きく振りかざしロボを倒す姿があった。