第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
『寝ろって…どういう……!』
「言葉通りの意味だよ」
私が言葉の意図を読み取れない状況で爆豪くんに質問した瞬間、ベッドに下ろされる。また私をベッドに乗せた直後、彼は私の上に馬乗りになってそう言った。突然の出来事に体が固まり、私が黙って爆豪くんの顔を見ていると爆豪くんが私の顔にそっと触れる。
「ひでぇ顔色…よくこんな顔色で立ってられたな」
爆豪くんは私の頬に触れながらそう呟く。
確かに最近はよく眠れていなかったかもしれない。色々な事があって夜も眠れずに考え事をよくしていたから。そして今日の部屋づくりでかなり体力を使い、体も限界が来ていたのだろう。
───どうして…そんなに…
「は?!…なんで泣いてっ…!?」
『え……ちが……っ違うの…!!』
私は爆豪くんに指摘されて始めて瞳から零れ落ちる涙に気がつき咄嗟に顔を腕で隠す。泣くつもりなんかなかったのに、泣いてしまったら彼を困らせてしまうのに。でもこの涙を止めることが出来なくて…どうしようもなく彼の優しさに甘えてしまいたくなって…
『爆豪くんが優しくするから……っ!!だからっ…』
───違う、爆豪くんのせいじゃないの。私が弱いせいなの。貴方は何も悪くない。
そしてそんな私の言葉を聞いた爆豪くんは小さくため息をついて馬乗りの体勢を解いた。やっぱりウザいと思われてしまったのか…面倒くさくて嫌われてしまったのか…と、より一層涙が出てきそうな事を考えていると彼からは予想外の言葉が飛び出してくる。
「その泣きっ面見ると調子が狂う」
そう小さく呟いた彼はベッドから下りて、どこからか取り出したタオルを私の顔に投げつけた。そして何も言わず、何も聞かずただ私が泣き止むのを待っていてくれた。
───あの時もそうだったね…本当に不器用な人。
でもそんな優しさに救われる自分がいる。私は溢れる涙を拭いながらポカポカと温かくなる心にそっと微笑んだ。