第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
その後、急いで部屋に戻った私は自室のベッドにうずくまり自分が口にしてしまった言葉の恥ずかしさに悶えた。そして窓の外を見ると真っ暗で時計を見るといつの間にか夜になっていた。私は夕飯とお風呂を済まして後は寝るだけの状態に入った時、ある事に気がついた。
『携帯がない…』
ポケットに入れて置いたはずの携帯が無いことに気がついたのだ。部屋の中を探すが見つからないので寮の何処かに落としたのかと考えていた時、鋭児郎の部屋に行ったことを思い出す。
『鋭児郎の部屋かな…とりあえず行ってみよう』
自分の部屋を出て鋭児郎の部屋の前につき扉をノックをするが返事が無く、部屋の中に人がいる様子はなかった。
『どうしよう…』
私が困り果てていたその時、鋭児郎の左隣の部屋の扉が開く。そこから出てきたのは爆豪くんだった。
「……クソ髪なら今、部屋王を決めるだかなんだかでいねぇぞ。多分当分戻らねぇ」
爆豪くんはいつもの腰パンスタイルに手をポケットに突っ込みながら私を見て少し顔を顰めながら教えてくれる。
『そうなんだ…ありがとう爆豪くん』
私は爆豪くんにお礼を言ってその場を立ち去ろうとするが爆豪くんはそんな私をじっと見つめ口を開いた。
「おい」
『何?爆豪く……っ』
彼に声をかけられ振り返った途端、全身に感じたこともない立ちくらみが押し寄せてその場に膝をつく。爆豪くんも流石に目の前で人が倒れかけそうになった事に驚いたのか目を見開いて私のもとに駆けつけてくれた。
『だ、大丈夫。大丈夫だから…』
「…っこっちこい」
『え…爆豪くん…』
私は無理矢理にでも1人で立ち上がろうとするが上手く体が持ち上げられずに眩む視界の中で廊下の壁に手を当てる。するとそんな私の姿に見かねたのか爆豪くんは私をお姫様抱っこして、自身の部屋にへと入っていく。彼の部屋の中は少量の電気しかついておらず爆豪くんは先程まで寝ていたのが伺える。
『ごめん…さっきまで寝てたんだね……すぐ帰るからっ…ごめん』
人に迷惑をかけたくない。これ以上迷惑をかけて嫌われたくない。必要ないと言われたくない。そんな気持ちが心を駆け巡り咄嗟に爆豪くんから離れようとする。
「いい……迷惑じゃねえから」
「…え?」
「っだからてめぇははよ寝ろ!」