第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
私が着信に応答すると携帯からは鋭児郎の声が聞こえてくる。
『はい、もしもし』
「わりぃ言、突然電話かけちまって」
『大丈夫だよ。それでどうしたの?』
「…あ〜、言さ…部屋づくり終わったか?」
私が要件を聞くと鋭児郎は歯切れが悪く口を開いた。
『丁度終わったところだけど…?』
「ならさ、今から俺の部屋に来てくんねぇかな。話してぇ事があるんだ」
『…わかった。じゃあ今から向かうね』
私は何の話だろうと思いながらも詳しく質問はせず、今から部屋に向かうことを彼に伝える。
「おう、わりぃな」
『ううん、大丈夫。じゃあまた』
そう言って私は鋭児郎との電話を切り鋭児郎の部屋にへと向かった。
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鋭児郎の部屋の前に着き扉をノックする。5秒ほど待つと扉からは鋭児郎が出てきて部屋の中に入れさせてもらう。彼の部屋はダンベル等の体操器具が床に転がり、まだ片付けが終わっていないのかダンボールが疎らに置かれていた。また壁には目標達成を掲げた紙や彼の憧れの存在でもある紅頼雄斗(クリムゾンライオット)のポスターなどが貼られている。
『…おぉ、なんかあれだね。漢って感じ』
「恥ずかしいからあんまり見るなよ…」
私が鋭児郎の部屋を見渡し感想を言うと鋭児郎は少し恥ずかしそうに口を抑えた。
『あはは、ごめん。えっと…話があるんだよね?』
「おう、とりあえず座れよ。と言ってもまだ座布団とか用意できてねぇから座るのはベッドになるけど…」
私が本題を切り出すと鋭児郎は少し真面目な顔つきになり私たちはベッドで隣合うように座る。しかし座ってから私たちの間には長い沈黙が走り、私はその沈黙に耐えきれず鋭児郎に声をかける。
『あの、鋭児郎 話って……!』
私が鋭児郎に話しかけた瞬間、先程まで私の目の前には鋭児郎の顔があったのに今は壁が映っている。そして体からは私以外の人の温もりが伝わってくる。私は今、鋭児郎に抱きしめられていた。
『鋭児ろっ…』
「言だ…生きてる…」
私が鋭児郎の突然の行動に困惑し声をかけようとした瞬間に鋭児郎がそう呟き始める。私を抱き寄せる鋭児郎の体は震えていた。