第5章 慣れてきた時こそ
全員の投票が終わり1人1票投票制の投票の集計結果が黒板に表示される。結果は緑谷くんが3票、百ちゃんが2票他の人達は同率1票や0票だった。ちなみに私はもちろん0票。
「なんでデクに…!!誰が…!!」
「まーおめぇに入れるよかわかるけどな!」
「ヒュ〜ヒュ〜…」
投票の結果にワナワナと怒りを露わにする爆豪さんの後ろでお茶子ちゃんが口笛を吹いていた。
(お茶子ちゃん緑谷くんに入れたのね…)
「1票入っている…」
そんな彼らの横で飯田さんはそう呟き、黒板を見つめながら目を丸くしていた。だが私も彼の投票結果は如何せん意外なものだった。彼の素質を見ていればもう少し票が入っていてもおかしくないと思っていたのだが…。しかも飯田さんは自分自身に投票しなかったのね。本当に真面目な人。
「じゃあ委員長緑谷、副委員長八百万百だ」
相澤先生は寝袋を脱ぎながら2人の名前を呼び、名前を呼ばれた2人が黒板の前に立つ。
「うーん、悔しい…」
「ママママジで、マジでか…!!」
百ちゃんは悔しい表情を見せ、緑谷くんはまさかの出来事に顔を強ばらせていた。こうして午前中の授業が終わり昼休みに入る。そして私は食堂でとある人を探していた
「えっと…えっと…あっいた」
私は辺りをキョロキョロと見渡しながら賑わっている食堂の人混みを掻き分けて1人で黙々とカレーを食べている人物に話しかける。
『あの、爆豪さん』
「あ゙?んだよ!!」
食堂の机の隅で1人カレーを食べている彼は私が声を掛けた途端にあからさまに嫌そうな顔をして私に目を向ける。
『これ爆豪さんのだよね』
そういって私は彼の名前が書かれていた生徒手帳を爆豪さんに渡す。
「どっかに落としたと思ったらてめぇが持ってたのかよ…」
爆豪さんがカレーを食べる手を止め私から生徒手帳を受け取る。
『本当は昨日渡そうと思ったんだけど爆豪さん先に帰っちゃったから…渡すの遅くなってごめんね』
「別に…」
『じゃあ、私はこれで…』
爆豪さんの落し物を渡し終わり教室に戻ろうと彼に背を向けて歩き出した瞬間、校内中にけたたましいサイレンが鳴り響いた。