第5章 慣れてきた時こそ
そして学級委員長を決めるとなった途端にクラスの大半がけたたましい勢いで手を挙げ始めた。
まぁ、普通の高校だったら学級委員長なんて雑務って感じでこんなことにならないだろうけど、ヒーロー科で学級委員長をやるという事は集団を導くすなわちトップヒーローの素地を鍛えられる役、ということで皆積極的にやりたがるのだ。
「静粛にしたまえ!!」
そしてワイワイと騒がしくなる教室で飯田さんが皆を静める為に大きな声を上げた。
「多をけん引する責任重大な仕事だぞ…!やりたい者がやれるモノではないだろう!!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!」
飯田さんはそう発言しているが、彼の手はとても綺麗に…それはそれはとても綺麗に天井にへと伸びていた。
「そびえ立ってんじゃねーか!!何故発案した!!!」
「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」
「そんなん皆自分に入れらぁ!」
そしてそんな飯田さんの提案に切島さんと蛙吹さんは否定的な意見を口にする。
「だからこそ、ここで複数票獲った者こそが真にふさわしい人間という事にならないか?!どうでしょうか先生!!!」
(一理あるかも)
「時間内に決めりゃ何でも良いよ」
相澤先生は学級委員長を決めるのに時間が掛かるのを見越してたのか自前の寝袋をどこからか取り出してモゾモゾと寝袋の中に入りながらそう伝える。そして飯田さんの発案通りに学級委員長を決めるための投票が始まった。
(誰に投票しようかな…)