第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
私が水差しを取る為に立ち上がった時、百ちゃんは口を手で覆いながら暫し沈黙して、またすぐに口を開く。
「それは、近々言を彼女にするというご報告の為ですか…!?」
百ちゃんは顔をキラキラさせながら私を見つめる。百ちゃんが突然こんな事を言い出したのはきっと響香ちゃんから進められ一昨日から読んでいる少女漫画のせいだろう…どっぷりとハマっていたし。
『い…いやいや、そういうのじゃないよ。鋭児郎に無理やり連れていかれただけで…』
私は水差しをを手に取りながら百ちゃんがそのような事を言い出した理由は頭でわかっていながらも動揺を示す。
「切島さん!なんと三角関係というやつですね!でも何時ぞやの言とデートをしたと言うお方も混ざったら四角関係ですわね…!」
『えっ!?いや、違う!鋭児郎はそんなんじゃないし…!あの人も……あっ』
私は百ちゃんの脳内恋愛モードに顔を真っ赤にしながら片手を横に振り否定する。するとその瞬間足が滑り、手に持っていた水差しのバランスを崩して水を頭から勢いよく被ってしまう。
「言!大丈夫ですか?!じいや!すぐにタオルを!」
百ちゃんは水を被った私の元に駆け寄り執事の内村さんを呼んですぐさまタオルを持って来るように伝える。
『あはは、ここのカーペットちょっと滑り易くなってたみたいだね』
私は先程の話で動揺して転んだ事を悟られないようにカーペットのせいで転んだと誤魔化す。
「まぁ…すぐに滑り止めを敷くように言っておきましょう。貴方はお風呂に入りなさい」
『うん、そうするね。あ、内村さんにはお風呂にタオルを持ってき下さいって言っておいて』
「わかりましたわ、早く行ってきなさい」
百ちゃんはふんわりとした笑顔でお風呂へ向かう私を見送った。ちなみに私を笑顔で見送った百ちゃんが
(本当に言は…まだまだ私がついてなくちゃ駄目ですわね)
なんて考えていたことを私は知る由もない。