第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
玄関に急いで駆けつけたのは百ちゃんとお母様、そしてお父様の3人だった。3人は私の姿を見た途端時間が止まったかのように固まってしまった。無言で見つめられるのに耐えきれなくなった私は意を決して口を開く。
『た、ただいま…』
「「「言!」」」
私は少し気まずそうに帰りの挨拶を呟くと、3人は私が家に帰ってきた事を実感したのか声を揃えて私の名前を呼んだ。百ちゃんとお母様は私の元へ駆けつけ私を力いっぱい抱きしめる。
「よくご無事で…!」
『百ちゃんこそ…かなり酷い怪我をして入院していたって聞いたけど……』
「あんな怪我、言の事を考えたらなんてことありませんわ!今日言が帰ってくると聞いて私も即退院の許可をお医者様から頂きました!」
「言さんも百さんも無事で良かった…本当に寿命が縮まったわ…!」
「こらこら2人とも、言が苦しいだろ」
百ちゃんとお母様は私を抱きしめながら涙を流し、お父様は2人を落ち着かせながら私の頭を撫でる。
『お父様。お家に帰られたのですか…』
普段は仕事でほぼ家にいないお父様が家にいることに久しい感情を湧き上がらせながら優しく頭を撫でられる感触に頬を若干緩ませる。
「大事な大事な愛娘がヴィランに攫われ後、無事に帰ってくると言うのに仕事を優先する親が何処にいる。…言よく生きて帰ってきた。怖かったろう…今日はいっぱい甘えなさい。お父さんがおまえの我儘、何でも聞いてやろう」
私はなんて馬鹿なのだろうか。先程まで家に帰るのが怖いと思っていた自分を殴ってやりたい。こんなにも…こんなにも私は家族から愛されているのに。
『ありがとうございます……なら、今日は4人で一緒に寝たいです…』
私はお父様が何でも我儘を聞いてくれるとの事で少し顔を赤らめ俯きながら小さな声でお願いをした。
「あぁ、なら今日は4人で一緒に寝るか!2人共もちろん良いだろ?」
「ええ!」
「なら私!すぐにお紅茶を入れてきますわね!」
そう言って百ちゃんは慌てて台所にへと駆けて行った。