第24章 始まりの終わり 終わりの始まり
オールマイトと緑谷くんの思い出がいっぱい詰まった砂浜を後にして塚内さんに自宅の前まで送って頂くと自宅の門の前には執事の内村さんが立っていた。
「言お嬢様…!よくぞご無事で!」
私が車から降りた途端内村さんは私の肩を掴み、声を震わせながら目に涙を溜めた。
『内村さん…ご心配をかけてしまって申し訳ございません。私は大丈夫ですから』
私は内村さんの背中を擦りながら心配を掛けてしまったことを謝罪する。
「いえ…取り乱してしまい申し訳ございません。警察の方もお嬢様の送迎ありがとうございました。また後日お礼の品を送らせていただきます」
内村さんは深々と塚内さんに頭を下げる。塚内さんは「当然のことをした迄なので」と言って仕事がまだ残っているため署へと帰って行った。
「言お嬢様、百お嬢様たちが中で貴方様のご帰宅を待っておられます。お早く顔を見せてあげて下さい」
『ありがとう、そうするわ』
私は内村さんの一歩後ろについて自宅の門から玄関までの長い道を歩いた。しかしその道のりは家に帰れる事の喜びや嬉しさ・期待に胸を高鳴らせるものではなく、ひと握りの不安を抱く道のりだった。
(あれ…帰った時、私皆になんて言えばいいの?ただいま…?ごめんなさい…?USJの時は普通に帰れたのに……この家に帰れて嬉しいはずなのにどうしてだろう……少し、ほんの少しだけ家に帰るのが怖い……)
胸の前で片手を握りそんなことを考えていると、もう玄関に到着したのか内村さんが扉を開けた。
「旦那様!奥様!百お嬢様!言お嬢様がお帰りになられました」
そして玄関に到着すると内村さんは大きな声でお父様とお母様・百ちゃんを呼んだ。声をかけて暫くすると奥からバタバタと足音が聞こえてくる。