第23章 神野の悪夢
思い出話を一通り聞き終えたその時、緑谷くんが砂浜を駆けてこちらへ向かって来た。
「お!やっと来た!」
「オールマイト…!!言さん!!」
「遅いよもー!!」
そしてオールマイト先生も緑谷くん目掛けて走り出す。
「オールマイト…」
「テキサス…SMASH!」
感動の再開かと思われたがオールマイト先生は勢いよくこちらに駆けてくる緑谷くんの顔面を拳で殴った。
「君ってやつは、本当に言われた事を守らない!!全て無に帰るところだったんだぞ。全く誰に似たのやら……」
緑谷くんは反省しているのか殴られたところを抑えながら黙って俯く。
「緑谷少年。私ね、事実上の引退だよ。もう戦える体じゃなくなってしまった」
聞きたくなかった言葉。信じたくなかった言葉。そしてオールマイトを誰よりも慕っている緑谷くんにとってこの言葉はあまりにも悲しく辛い言葉だ。殴られた頬を押さえて今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。また話に続いてオールマイト先生は突拍子もなくマッスルフォームになった。
「フン、フン、フン、フン、バッ…!!」
オールマイト先生がマッスルフォームになって数秒すると血を吐き、直ぐにトゥルーフォームに戻ってしまう。
「ワン・フォー・オールの残り火は消え…おまけにマッスルフォームもろくに維持出来なくなってしまった」
緑谷くんと私はその言葉を聞いて悲愴な面持ちになる。
「だと言うのに君は毎度毎度、何度言われても飛び出して行ってしまうし…!何度言っても体を壊し続けるし!!だから今回!」
オールマイト先生が緑谷くんの今までの所行を叱る。そしてバッと片腕を広げた。