第23章 神野の悪夢
ホークスさんとルーシーさんの面会の後、オールマイト先生とグラントリノさんがすぐお見舞いに来て下さった。私は面会を断ってしまった事を謝りながら短い時間ではあったがお2人との談笑を楽しんだ。そして検査が終わり、検査の結果なんの問題も見当たらなかったので無事退院。私はお世話になったお医者様と看護師さんにお礼を言って病院を後にした。外に出るともう日も暮れ始める時間。病院の目の前にはパトカーが止まっていて中には塚内さんとオールマイト先生が乗っていた。病院を出発してしばらく道を走ると車の窓からは海が見え、綺麗な砂浜が広がっていた。
「塚内くん。ここで1度下ろしてもらっていいかな?」
「ああ、行ってこいよ”先生”」
車が止まったのは砂浜にへと繋がる階段がある場所。私は何故ここに止まったのだろうと疑問に思いながら窓の外を眺めた。また塚内さんが応援するようにオールマイト先生に向けて親指をたてていた。
「ありがとな塚内くん。じゃあ言少女、行こうか」
『あ、はい』
突然名前を呼ばれ、私も降りるのかと慌ててシートベルトを外す。そして私とオールマイト先生はパトカーから下りて少し冷たい海風が吹く砂浜を歩く。辺りはすっかり暗くなり空には光り輝く月と星々たち。静かにうちつける波音と風にさらわれてパラパラと舞い上がる砂が月の光に反射して光り、小さな宝石みたいでこの場所はとても居心地が良かった。
「ここはね、私と緑谷少年の思い出の場所なんだよ」
『ここが…』
「ああ…元々この場所はゴミの山だったんだけどね。緑谷少年の特訓の成果もあってこんなに綺麗になったのさ。他にもね─────…」
砂浜をゆっくりと踏み締めながらオールマイト先生はぽつぽつと緑谷くんとの今までの出来事を話し始めた。大切な思い出を一つ一つ紡いでいくように…