第23章 神野の悪夢
暫くの間お互いの温もりを確かめるように抱きしめあった2人。流石にこれ以上触れ合うのが恥ずかしくなってきた言はゆっくりと腕を解いた。がホークスの方は一向に腕を離す気配はない。
『あの…ホークスさん…』
「ん?」
『そろそろ離して頂けると助かります…』
顔を真っ赤に染めながら視線を逸らして彼にそう頼んだ。
「え〜…どうしようか…」
恥じる言の姿を見て心が擽られたのか意地悪な反応をするホークス。そんな時、病室の扉からノックの音に続いて声が聞こえてきた。
「言。いるかい?」
『は、はい!います!』
「なら入るよ」
突然の来訪者に驚いた言は目の前にいたホークスを突き飛ばして返事をする。そうして扉を開いて病室に入ってきたのは言が職場体験でお世話になった図書館を個人経営しているルーシーだった。
『ルーシーさん?!』
「久しいね言……それと、そんな所で何をしてるんだいホークス」
先程言に突き飛ばされたホークスは病室の床に背中から倒れ込み両目を片方の手で覆っていた。そして何やら意味深な言葉を呟いて手のひらの間からルーシーの顔を覗いた。
「…もしかして”見えて”ました?」
「さあね」
「確信犯じゃないですか」
ツンとした態度でホークスに返事をしたルーシー。ホークスはそんな彼女の様子を見て困ったように立ち上がった。
『ルーシーさんどうしてここに…』
「なんだい私がここに来ちゃ悪いのかい」
『いえ、そういう訳では!寧ろ来て頂いてとても嬉しいです』
「……なら問題ないだろう」
少しの意地悪を言ったつもりがその意地悪は言に通じることはなく、寧ろ照れくさくなるぐらいに真っ直ぐな瞳と笑顔でそのような言葉を言われてしまいルーシーは少したじろぎながら話を繋いだ。
「ルーシーさん〜」
「うるさい」
「痛!」
茶化すようにたじろいだルーシーの名前を呼んだホークス。彼に茶化されたルーシーは間髪を入れずにホークスの足を踏んだ。
「まぁここに来たのはあんたの見舞いと大事な話を兼ねてさ」
『大事なお話?』
「あぁ、言の個性についての話だ」