第23章 神野の悪夢
『…そんなこと言わないでください』
言は片腕を上げて酷く沈んだ顔色を見せるホークスの頬に優しく包み込むように手を当てる。
『……私も消えたいなんてもう言わないから…だから、ホークスさんも自分を最悪の人間だなんて言わないでください』
ベッドに倒れていた言は体を起こして視線をホークスと同じ位置に合わせる。悲しみにくれた涙はもう止まっていた。
『私…ホークスさんがヒーロー活動をしている時、ホークスさんの姿を…赤い翼を、羽を見るととても安心するんです。貴方の背中を見ると安心するんです。だから自分を卑下しないでください。貴方は最高にカッコ良くて、立派なヒーローなのだから』
その言葉を聞いた瞬間ホークスは大きく瞳を開き何か言いたげな表情を浮かべたが、その思いを飲み込むように一度開いた口を閉じて再度声を絞り出した。
「…ありがとう言ちゃん。それと生きててくれてありがとう」
「はい…!こちらこそありがとうございます」
言の肩に顔を埋めたホークス。言は小さな子どもをあやすように彼を抱きしめた。