第23章 神野の悪夢
「例えその事を伝えていたとしても、きっとオール・フォー・ワンは動いていつかは今回のような事件を引き起こしていたと思う。……もし水族館での出来事が言ちゃんのせいになるって言うなら俺も同罪だ。君だけが悪いわけじゃない。だからこれ以上1人で…」
『……も……だ………』
「…言ちゃん?」
ホークスの胸元で両手を握りしめて震える彼女はか細く何かを呟いていた。
『…もう嫌だ………消えてしまいたい…私がいなければ……』
それは酷く脆く悲しい言葉だった。
『私が最初からいなければこんな事には………私が消えれば……』
「…っ?!」
突然不思議な事が起こり始めた。彼女が「消えたい」と悲しい言葉を放つ度にどんどんと体は透明になっていき、自分の腕の中にいる彼女は本当に今にも消えそうになっていたのだ。そんな姿を目の当たりにしたホークスは唇を噛み締めて一度強く目を瞑り覚悟を決めた表情で口を開いた。
「ごめん。言ちゃん」
『…ホークスさ……ん!?』
突然両手で顔を優しく包まれ、顔の向きを上にあげされられた言はキョトンとした表情を浮かべながら彼の名前を呼んだ。するといつの間にか彼との距離は0m。目の前には見慣れたホークスの顔があって、驚きの言葉を口にしようとしたのだか、唇は動かせず言葉を生み出すことも出来なかった。